寄り道、待ってます。

ここは名古屋の真ん中から
地下鉄で数分離れた街にある、
小さな串かつ屋。
カウンター10席とテーブル一つに
陣取る常連も新顔も、
その味だけを求めてやって来るのではない。
「そういえば昨日さあ」
「彼氏と、もうすぐ別れそう」
隣の席から聞こえる話が、
どんなメニューより味わい深い。
どんな酒より気持ち良く酔う。
心惹かれる不思議な言葉の引力を、
暖簾の向こうから感じるのだ。
人生と出会うか。ただの笑い話か。
短編にして肴。肴にして人生。
「酒でも飲みながら読んでって。
寄り道、待っとるよ」と、
大将のろくが言っています。

ここに掲載されている物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称、場所は実在するものとは一切関係ありません。